ヴァイオリン 〜 雑音ラプソディ 〜

50代後半になって始めたヴァイオリン。 ヴァイオリンやピアノなど好きな 音楽に関することを綴っていきます。

弓の毛替えが年2回に

2026.1.23

大雪に見舞われている地域には及びませんが、東京もとても寒い日が続いています。今朝の気温は−3℃。最近は風が強くて凍えそうになるので、フード付きのコートで防寒です。

午年はイタリア産の馬の毛で弾き初め

毎年1回、弓の毛替えを楽器店にお願いしているのですが、昨年は2回替えることになりました。4月に一度替えているのですが、半年後ふと弓元(弓を持つ手元)の毛の黒ずみが目に入り驚きました。滑りやすくなったものの音質の変化はあまりありませんでしたが、弓元の濃い黒ずみは交換のサインです。今まで半年で黒ずみが出ることはありませんでしたが、これは夏の猛暑の中の練習と長い夏のせいかと。

4月に張ってもらった馬の毛は上質モンゴル産でした。使ってみると、滑らかでとてもやさしい音が出るのですが、感触が柔らかすぎるので、フォルティシモや速度が速いパッセージを弾くには、力が弱く不向き*1。もう少し硬さが欲しいなぁと思いながら過ごしていました。*2

半年ごとに毛替えをするのはお金もかかるのですが、今年は午年ですし、年明け前に新しくしておいても良いかなと思い、替えることにしました。今回はイタリア産の馬です。

弦への食い付きも固さも滑らかさもほど良いし、音も良い。脱色されていないせいか、使い始めのツルツル感がないし、自然の毛の風合いが良いですね。

手前の茶色い毛がイタリア産の馬の毛

弦をお試し中:

数年前に、ジャケ買いした弦が気に入って、以来それを使っているのですが、E線だけはなかなかしっくり来るものに出会えていませんでした。

初期の頃に使っていたのは、ドミナント。良くも悪くもなく標準的。練習するにはバランスも良くて弾きやすいのですが、段々上達してくると音質に物足りなさを感じてきます。

そこで、ジャケ買いしたPirastro社のオブリガートオブリガートとはイタリア語の音楽用語で「義務づけられた」という意味ですが、楽譜に書かれた通りに演奏する、ということです。ポルトガル語の「ありがとう(オブリガード)」と似ているので一瞬勘違いして買ったものですが、音の響きや広がりはドミナントよりも好み。

良いのはG線、D線、A線。 ゴールドカラーのE線は、その色の通りのキンキン音が耳にビンビン響く上に、金線は固くて指に弦が食い込んで痛いのです。

E線はいろいろと試していくうちに、Pirastro社のオリーヴに落ち着きました。でも、これはペグやアジャスターの締め方を慎重にしないと切れます。

GDA線はオブリガート、E線はオリーヴ

昨年の春頃でしたか、某音大で教授されたり演奏活動など幅広く活躍されているヴァイオリニストのS先生が、新しい弦を張り替えて1週間後に試し弾きをして、その感想や性質等を動画で紹介していました。その中で絶賛していた弦の幾つかのうち、Thomastik社の「ダイナモ」を買ってみました。昨9月頃に張って現在使っています。

この弦は、凄いです。

弾力性があって大きな音が出ます。特に、E線は高音の発音が抜群に良く、押さえて指が痛い思いをせずに済みます。A線D線はフラジオレットが弾きやすく、澄んだ音色が大きく鳴ります。*3

G線、すごく良い音が出るのですが、張り始めからひと月は弦の弾力が強く、力を加減しないとボヨーンという余計な音が飛び出しますので注意が必要です。

ダイナモ」は音量が大きく出るので演奏会向きですね。E線はとても良い音を出すので、高音が見せ場の曲を演奏する時は、E線だけでもをこれにすると良いかなと思います。

4弦をダイナモにしてみました。

弦も弓の毛もそれぞれに個性があって、楽器との相性が合うととても美しい響きを奏でてくれます。それを聴くだけで自分が上手くなったような、「勘違い」…をします。

ダイナモはそのような弦なので、練習では個性の強くない弦でしっかり練習した方が良いですね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

*1:これは弓の木質や曲によって変わりますので、必ずしもそうではありません。当該の弓の木材はやや軽めのブラジリアンウッド。フォルティシモには少し重みが足りません。

*2:当該の弓は練習用。昨年発表会用に弓をもう一本買い、毛の硬さは程よい感じなので、時々使っています。発表会でデビューさせたのですが、同時に黒ずみが出ているので要交換状態です。

*3:E線の感触の持続性は3ヶ月位ですね。

注目したいウクライナの天才ヴァイオリニスト

今日はウクライナ出身の力士、安青錦が初優勝し、入門2年目にして大関昇進の予定だという明るいニュースがありました。

2025.11.20

2024年のエリザベート国際コンクールのヴァイオリン部門で優勝したウクライナハルキウ出身のヴァイオリニスト*1、ドミトロ・ウドヴィチェンコさんのリサイタルに行ってきました。場所は東京文化会館小ホール。

2025.11月デュオの案内

この話の前に、今年4月、私は体調が悪く外出を控えていたのですが、これだけは逃すまいと、4/22のウドヴィチェンコの無伴奏リサイタルを聴きに行ったのです。場所は東京・武蔵小山の公民館の小さなホール。教会のような雰囲気でした。   

その時に演奏したのは、バッハ、バルトーク、イザイ、クライスラーなどのピアノ伴奏なしの無伴奏曲。

私はこのリサイタルのことを知るひと月前に、自分の🎻発表会で弾く曲のお手本動画をYouTubeで検索していました。偶然、男の子(8歳位)の演奏動画を見つけ、この子、すごく上手だなぁと思って保存していました。ウクライナ出身、名前はドミトロ・ウドヴィチェンコ。動画が15~6歳位で途切れてしまっているため、ロシアのウクライナ攻撃が続いて、この子は今どうしているのだろうと気になっていたところ、その名前のリサイタル情報が入ってきたのです。

今は26歳。顔や髪型など大人になって、眼鏡もかけているし、動画と同一人物?と半信半疑でしたが、顔の骨格を見ると、やはり当人でしたね。

11/20のデュオリサイタル(東京文化会館小ホール)では、無伴奏では見られなかったウドヴィチェンコの真の力を見せつけられました。

選曲のテーマは、平和と反戦。ピアニストと主催者と3者で考えたそうです。

ヤナーチェク: ヴァイオリンソナタ

ブラームス: ヴァイオリンソナタ第1番「雨の歌」

●シルヴェストロフ: J.S.B*2に捧ぐ

ショスタコーヴィチ*3: ヴァイオリン・ソナタOp.134

○アンコール: ショスタコーヴィチ: 24の前奏曲OP.34 No.17

楽譜の中に見える作曲家の感情に、故郷ウクライナや家族への想い、怒りなどの感情が重なり合って、言葉では表現しにくいのですが、その複雑な感情やエネルギーが、ヴァイオリンの音色を通して伝わってくるのです。限りなく小さく美しいピアニシモ、弦の発音の美しさ、超絶技巧、聴衆の心を揺さぶる表現力は天才的です。

正に超一流の演奏を聴かせてもらいました。 

使用ヴァイオリンは、2024年に日本音楽財団から貸与された1708年製ストラディヴァリス「ハギンス」。このヴァイオリンの音色がたまらなく素晴らしい。

家族は故郷ハルキウに残っているようですが、本人は17歳の時からドイツに住み音楽の勉強を続けているそうです。彼の才能を戦争なんかで埋もれさせたらいけない、そういう思いです。

ピアノ伴奏は、フィンランド出身のピアニスト、ミカエル・ロポネン。伴奏者というより、もう一人の主役というべきですね。ウドヴィチェンコと同じ想いが感じられ、存在感の高い演奏でした。指揮者でもあるロポネンは、2026年7月に東京交響楽団の客員指揮者として日本デビューするそうです。

ウドヴィチェンコは、2026年7月にミューザ川崎で同楽団とコルンゴルドのヴァイオリン協奏曲を共演するそうです。

ウドヴィチェンコへのインタビュー記事(産経新聞)を末尾に添付します。

4月の無伴奏リサイタルのちらし

www.sankei.com

*1:他の受賞歴:2018年 ヨーゼフ・ヨアヒムコンクール第2位、2022年 シベリウス国際音楽コンクール第3位、2023年 モントリオール国際音楽コンクール優勝

*2:J.S.バッハのこと

*3:ロシアの作曲家の曲を入れたことで在日ウクライナ大使館の後援を受けられなかったそうです

クライスラーを弾く③/愛の悲しみ

2025.10.25

つい先日まで半袖を着ていたと思ったのに、急に寒くなり、慌ててコートとマフラー、手袋を装着し始めました。今日明日は東京は生憎の雨です。

9月までヴァイオリンのために除湿器を付けていましたが、最近湿度が40%に下がり始めたせいで、ヴァイオリンをケースから出すと、ベグが動いて弦がゆるゆるになっていたりします。そろそろ加湿器の出番です。

先日までショパンピアノコンクールに夢中になって一喜一憂していましたので、ヴァイオリンのレッスンは続いていますが、しばらく頭の中をショパンのメロディーが回っていました。

さて、前回の「クライスラーを弾く➁」の続きです。

2024年8月に「美しきロスマリン」のレッスンが終わり、「愛の悲しみ」に進むことになりました。

この曲は、前半の65小節まではイ短調で、少し悲し気な雰囲気です。その後中盤でイ長調に転調して明るく穏やかな雰囲気になります。そして再びイ短調の同じメロディーに戻り、後半はイ長調で爽やかにフィニッシュ、という曲です。

イ短調で始まって…

中盤、イ長調に転調します

「愛の悲しみ」というタイトルですが、最後は明るく終わってハッピーになるので、失恋の悲しみというわけではなさそうです。クライスラーがこれを作曲した時は、結婚して3年程でしたので、結婚生活の浮き沈みを表現しているのではないかと思います。

3/4拍子で、最初から最後までアウフタクトが使われているので、リズムの取り方が少々難しいですね。クライスラーの曲は、アウフタクトとポジション移動、フラジオレットが特徴的。アウフタクトの効果で、ダンスをしているように滑らかに流れるようです。(上手に弾ければですが...)

クライスラーの「美しきロスマリン」、「愛の悲しみ」そして「愛の喜び」は、3曲で「ウイーン古典舞曲集」と云い、ヴァイオリンとピアノのために書かれたものですので、ピアノとの掛け合いがとても楽しい曲ばかりです。

「愛の悲しみ」は3週間ほどのレッスンで仕上がりました。今年2025年の発表会の候補に挙げていたのですが、結局私の持ち時間の4分を超えてしまうのでNGとなりました。

プロのリサイタルでしたらウイーン古典の3曲目「愛の喜び」もというところですが、これはとても難しいので後回しにして、愛の悲しみと同じイ短調で始まる「ルイ13世の歌とパヴァーヌ」という曲に進みました。

「愛の喜び」については、「愛の悲しみ」が終わってから1年後のまさに今、奮闘中です。

この曲は、今年中には完成すると思いますが、ブログ投稿の方が追いつけるかどうかー…。

頑張ります!

東亮汰&高木竜馬デュオリサイタル①②③

今年3月に聴きに行った東亮汰さんのヴァイオリンリサイタルの投稿をアップしないうちに、9月のリサイタルの日が来てしまったので、まとめて書きます。💦

① 2025.3.25

横浜市青葉区フィリアホールのランチタイムコンサート。 

ヴァイオリン:東亮汰さん

ピアノ:高木竜馬さん

このコンサートのことを知ったのが少し遅かったので、チケットは残り僅かでしたが、2階席の最前列が取れました。このホールは室内楽用で、音響もとても良く、どこの席でも良い音で聴けます。💕
ランチタイムの1時間だけのコンサートなので、小品を選んだのだと思いますが、内容は充実していました。贔屓目というわけではなく、東さんが心掛けているヴァイオリンの美しい音色や響きを意識して弾く、がそのまま伝わってきて、後半は別世界にいるような感覚になりました。

ここは私が昨夏の発表会でG線上のアリア等を演奏したホールです。同じ場所に東亮汰さんが立って演奏しているのは感無量でした。東さんは子供の頃、発表会はいつもこのフィリアホールだったそうです。

曲目:

エルガー 愛の挨拶 Op.12

パガニーニ カンタービレニ長調 Op.17/MS109

ブラームス FAEソナタより第3楽章:スケルツォハ短調WoO.2

ヴィエニャフスキ 伝説 Op.17

ドヴォルザーク 我が母の教え給いし歌

ブラームス ヴァイオリンソナタ第3番ニ短調 Op.108

ピアニストの高木竜馬さんとの息もぴったりでした。この方の演奏は凄い。単なる伴奏演奏ではなく、ピアノ共演者として聴くのが相応しい。

高木竜馬さんは、グリーグ国際ピアノコンクールで最年少優勝、その他にローマ国際ピアノコンクール等7つの国際コンクールで優勝、国内外のオーケストラや名指揮者と共演してきた経歴のピアニストです。

フィリアホール

コンサートの後のランチは、青葉台駅前のPAULで。

2025.9.29

3月と同じ横浜市青葉区フィリアホールです。

ヴァイオリン:東亮汰さん、ピアノ:高木竜馬さん

この日はソワレで2時間たっぷり二人の共演を楽しむことができました。

曲目:

モーツァルト ピアノとヴァイオリンのためのソナタホ短調K.304

ブラームス ピアノとヴァイオリンのためのソナタ第2番イ長調Op.100

◆フランク ピアノとヴァイオリンのためのソナタイ長調FWV8

モーツァルトのピアノのヴァイオリンのためのソナタの中で唯一この曲だけが短調で、作曲されたのが1778年頃、モーツァルトの母親が亡くなった時期に書かれたそうです。優雅な中に悲しみが感じられる曲です。そして、ブラームスとフランクのソナタ、異なる作曲家ですが、1886年の同じ年に同じイ長調で作られたそうです。

東さんの演奏ですが、ブラームス国際コンクールで2位受賞、海外やオーケストラ演奏旅行などの経験を積んで、短い期間の間に表現力がさらに豊かになった印象です。

モーツァルトソナタ初めて演奏を披露したと仰っていましたが、音はなめらかで、作曲家の悲しい心情が伝わってくるようでした。

そして、フランクのソナタ、久しぶりに演奏したそうてすが、特に3楽章は、音の強弱表現による美しさが感動的でした。

貫禄とは言わないまでも、前よりもプロ演奏家然としていて、音に落ち着きと艶が表れていました。30代になったら凄い演奏家になるような気がします。

◇アンコール: ブラームス FAEソナタより第3楽章:スケルツォ

◇アンコール: シューマン  トロイメライ

横浜文化賞受賞:

先頃、令和7年度の横浜文化賞受賞者4名の中にヴァイオリニストの千住真理子さんが選ばれ、もう一つの賞、横浜文化芸術奨励賞の受賞者2名の中に東亮汰さんが選ばれました。ファンとしては嬉しいことです。👏😊

次回は 2026年1月8日

二人のデュオリサイタルのチケットを購入しました。

会場は東京都渋谷区立文化総合センターのさくらホール

今度はラヴェルプロコフィエフ、二人の新しい試みだということで、年明けがとても楽しみです!

席はまだあるようです。

 

クライスラーを弾く②

先月の猛暑の最中に発表会があったため、ブログが中断してしまいました。本当に今夏は暑さが厳しくて、モチベーションを維持するのが大変でした。今年の発表会については追って投稿します。

クライスラーを弾く」の続きです。

2024年8月の発表会が終わった後は、クライスラーの「美しきロスマリン」のレッスンを再開です。

一弓アップボウスタッカート。スラーが2小節(12音)続くところは、なかなか一弓で弾き込めず、途中で弓を折り返したくなります。

勢いで調子よく弾ける時もあるのですが、弓の角度が次第に曲がってカスカスな音が出たりするし、後半は、前半と同じ旋律が、アップボウとアップ&ダウンが入れ替わる意地悪なところがあり、ここで毎回つっかえます。

このアップボウスタッカートで始まる冒頭のメロディーは、Grazioso(優雅に)とあります。3/4拍子でウイーンのワルツのような、優しくてきれいなメロディーなので、しなやかに弾きたいところですが…。

途中からゆったりした曲に変わります。meno mosso(今までよりも速くなく)。割とゆっくり簡単に弾けそうに見えるのですが、最初のメロディーを短1度下に移調させてから再び元の音程に戻す構成ですが、そこで音がズレる。装飾音と付点四分音符による流れるような旋律ですが、アウフタクトが入っていることで4拍子と錯覚してしまいそうになる。意外と難しいところです。

装飾音ははっきりゆっくりと、毎回指摘されてしまいます。ピアノ感覚で、装飾音を速く弾く癖が付いているようです。

 

2~3週間奮闘して、なんとかOKを頂き、次の曲「愛の悲しみ」へ進むことができました。

憧れのロスマリンの曲、なかなかきれいに弾けませんでしたが、使っている楽譜が難しいのだろうとも思っています。

後日談ですが、今春、ある女性ヴァイオリニストのリサイタルを聴きに行きましたが、アンコール曲が「美しきロスマリン」でした。演奏の様子をジーっと見ていましたが、最初から最後までアップ&ダウンで弾いていました。

私はあんなにアップボウスタッカートに苦労したのに、プロは必ずしも楽譜通りに弾かなくても良いのですね…。

広尾のサロンホールでヴァイオリンを聴く

東京は久しぶりの雨ですが、立秋を過ぎて何となく過ごしやすくなったような気がします。
先日、友人の誘いでヴァイオリニスト小野明子さんのサロンコンサートへ行ってきました。
 
2025.8.3
 
会場は東京メトロ日比谷線広尾駅から5分ほどのところですが、なるべく暑い中を歩かなくて済むように、渋谷から都営バスで10分ほどの広尾五丁目のバス停で降ります。そこからわずか1分でした。
案内にはFIビルとありましたが、Googleマップにはプライム広尾ビルと掲載されています。
 
演奏は、ヴァイオリニストの小野明子さんとピアニストのゴウ芽里沙さん。
ホール名は、La Salle F(ラ・サールF)。Fがどういう意味なのか後でわかったのですが、後半で説明します。
 
小野明子さんは、知る人ぞ知るヴァイオリニスト、でしょうか。2000年に英国メニューイン国際ヴァイオリンコンクールで優勝し、英国紙「ザ・タイムス」の一面トップを飾り一躍注目を集めたばかりか、エリザベート王妃、パガニーニシゲティ国際コンクール等で数多くの賞を受賞。12歳でメニューイン音楽院に単身留学し、後にウイーン国立音楽大、大学院を経て、メニューイン氏の指揮で欧州デビューを飾っています。英国を拠点に演奏活動や教育活動をされていて、東京都江東区室内楽ワークショップも企画されています。
葉加瀬太郎さんのヴァイオリンの師匠でもあるようです。
 
 
小野さんの演奏は、弾き始めから音の美しさにハッとさせられました。弓と弦の相性が良く、音がソフトで滑らか。どの曲も音に一寸も唸りがない。一方で、超越したテクニック。
使用ヴァイオリンは、調べた情報によれば、多分1772年のガダニーニ。
 
演奏プログラムは、こんなに聴けるの?と思うほど聴き応えのある内容でした。スペインものの曲を入れて暑さを吹き飛ばすようなプログラムにしたようです。
ピアニストのゴウ・芽里沙さんも国内外で数々の賞を受賞している方で、このプログラムの中で、ショパンの曲を1曲(幻想即興曲「遺作」)演奏されました。ピアノはスタインウェイD-274。
 
プログラム
 
どれも私の好きな曲なのですが、とりわけ、タレガの「アルハンブラの思い出」。本来はギターの曲で、トレモロ奏法という高度な技術が必要ですが、ヴァイオリンで弾くには相当な技術力と練習が必要です。
ピアニストのゴウさんが、リハーサルで演奏の様子を観ていたけど、指がどうなっているのか全くわからなかったそうです。
左指でメロディーの運指、弓でトレモロ、同時に伴奏のメロディーを左指でピチカート。
 
コロナ禍にKerson Leongというカナダのヴァイオリニストによる演奏動画を観たのですが、その演奏技術に驚愕しました。
この曲が小野さんのプログラムにあり、間近で演奏を聴くことができて感動しました。素晴らしかったです。
 
ヴァイオリンの「アルハンブラの思い出」はなかなか聴く機会がないので、Kerson Leongさんの演奏動画をお借りして掲載します。

youtu.be

 
さて、このサロンホール「La Salle F(ラ・サールF)」、今年2025年の1月にオープンしたばかりのホールで、エレベーターを降りたところから、中世ヨーロッパを思わせる重厚な雰囲気があります。
 
オーナーは、資生堂創業家5代目の福原和人氏。
「F」は福原のイニシャルなのです。
 
 
ホール内は、音の拡がりや残響のバランスが程よく、ピアノの音が大きく反響せず、ヴァイオリンの音が聴きやすかったです。
音が柔らかく聴こえ、音の中に入り込んだような感覚を覚えたのにもホールの構造に関係があるのかもしれません。
設計にはかなり工夫されたようです。
 
 

クライスラーを弾く①

昨年2024年の話です。

2024年1月にクライスラーを習い始め、「美しきロスマリン」のワンボウ (一弓) スタッカートの連続技にふた月、四苦八苦しているところで、発表会の曲を決める時期になってしまったのですが、この曲はプロでも弓をワンボウにしないでアップダウンで演奏する人もいるくらいなので、未熟な私がいくら練習しても失敗するリスク大。なので、人前で弾くのは諦めました。
 
クライスラードヴォルザークブラームス等の著名な作曲家のピアノ曲等をヴァイオリンソロ用に編曲しているので、選択肢はいろいろあるのですが、やはりクライスラーの作曲した曲が弾きたいのです。
となると、クライスラーの名曲の一つ「愛の悲しみ」か、と思い悩んでいたのですが、曲集をパラパラめくっている時、先生から「シンコペーション」がおもしろいわよ、という一声。
 
3月になると、レッスンの曲選びは発表会を意識しないといけないので、取り敢えず「シンコペーション」をレッスンでやることになりました。
 
譜読みをして行くと、弓を弦から弦へあちこち飛ばしたり、弾みのある装飾音、それと、長調の曲ですが所々短調と思えるような半音の旋律とタイトル通りのシンコペーション、最後のキメのピチカート。そこそこテクニックが必要で難しく思えるのですが、リズム感を掴めば乗り越えられる曲です。
クライスラーはユーモアのある人だったとわかるような、テクニックの遊びを取り入れた楽しい曲なので、譜読み段階でもうこの曲に決まりでした。
 
クライスラーを発表会で弾く:
 
2024年は発表会が2回あり、両方とも同じ「シンコペーション」を演奏しました。
練習では楽しく弾けるのに、ステージではそうは行かない、まだそこまで余裕を持てないのが発表会なのでしょうね…。
アレグレット・グラツィオーソ、大体♪=138のの曲です。途中で指がもつれても音がズレても、決して止まれないし、やり直しはNG。
その間、ピアノ伴奏はどんどん行ってしまいます。
自分の演奏が意図せず速くなると、ピアノがそのテンポに合わせてくれてしまうので、自分のペースで弾くように言われても、ピアノに遅れまいと更に速く暴走してしまう傾向があります。増して、この曲、調子が乗ってくると速くなるのです。
 
1回目の発表会は、音ズレ多発、後半で暴走気味になってしまったこと、自分では反省点がたくさん。それでも、他の方の意見では、雰囲気が出ていてよかった、らしいです…。
 
リズム感のある曲は、体で覚えているので、指がもつれてもズレてもしっかりピアノに追いついていけます。
2回目の発表会では、暴走はしなかったものの、ちょっとだけ指がもつれて1小節が抜けたようになり、最後の数小節は音程ズレあり、でしたが、あれこれと自分が気にしていたようなミスは、観客側は気づいていなかったということが、演奏後にわかりました。
友人や知らない方からも、リズミカルで楽しかった、良かった、という感想。
自分が気にするほど、観客は気になっていないということですね。
 
2回目の発表会では2曲弾いて、「G線上のアリア」も弾いたのですが(G線だけで演奏)、これについては友人達から何の感想もなし。
次に演奏した「シンコペーション」の印象が強烈だったため、記憶から消えてしまったようなのです。